国立予防衛生研究所は厚生労働省の施設として1947年に設立された「予防衛生研究所」が前身

1949(昭和24)年6月1日、「国立予防衛生研究所」に改称。

1955(昭和30)年3月23日に海軍大学校跡地に移転してきた。

1997(平成9)年、「国立感染症研究所」に改名。

1992(平成4)年10月、新宿区の厚生省戸山研究庁舎に移転した。

建物は1999(平成11)年に取り壊されたという。

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紫外線殺菌灯の食品衛生面への応用とその効果

    (昭和36年6月9日受理) 東京都品川区上大崎長者丸284

                             国立予防研究所食品衛生部 河端俊治

 

  紫外線殺菌灯による殺菌作用は2537A線(水銀の共鳴線)によるもので

  そのすぐれた殺菌効果は食品衛生面においても広い範囲がある。

       

 【殺菌灯による紫外線殺菌には次のような特徴がある】

(1)あらゆる菌種に対して有効である

(2)化学薬品や加熱による殺菌とは異なり 被照射物に照射後もほとんど変化を与えない

(3)使用方法が簡便である

 

(4)殺菌効果は対象の紫外線透過率が関係し最も有効な殺菌対象は 空気と水である

(5)空気や水以外の大部分の物質は 紫外線を透過しないことから

   光(殺菌線)の当たった個所の表面殺菌に限られ 影や内部には効かない

(6)紫外線をある限度以上 目や皮膚に受けると一時的な 結膜炎症や日焼けを起こすので 

   適切な防護策が必要である

(7)脂肪やタンパク質の多い食品に強く照射すると 異臭や変色を起こすことがある

(8)現在の殺菌灯は初期の石英製とは異なり オゾン生成は極めてわずかであり 

   この程度のオゾンは無害であり むしろ防臭に役立つ

 

  微生物の殺菌に必要な照射量は 菌種 株菌の環境や実験方法や実験方法によって異なってくるが

  細菌・カビ・酵母のみでなく ウィルス等にも有効である 一般に微生物は 乾燥した状態では 

       紫外線によって容易に殺滅される 

  普通 飲食物の汚染の指標にされる 大腸菌は15ワットの殺菌灯から50センチで1分以内

  10センチなら6秒でほとんど全滅する 赤痢菌チフス菌や各種ウィルスも大腸菌を同程度である

 

   【空気殺菌への応用】

   空気はほとんど紫外線を吸収しないことから 殺菌灯を最も効果的に役立てることができる用途は広範囲にわたるが 使用法から・・・

 (1)直接照射による 室内全体の殺菌 

 

 (2)上層空間の照射による 室内全体の間接殺菌

 

 (3)局部箇所の空気殺菌 及び ダクト(空気を送る管)を利用した空気殺菌に分けられる